S&P 500 バックテスト詳細レポート
対象期間: 2016-04-08 ~ 2026-04-08 (10 年間) / テスト実施日: 2026-04-09
テスト対象と条件
なぜ S&P 500 か
バックテストの信頼性を高めるために、意図的に S&P 500 をテスト対象に選んでいます。 特定の銘柄を「過去に上がったもの」から選ぶと、結果が実力以上に良く見えてしまいます。 S&P 500 は公的な株価指数であり、銘柄を恣意的に選ぶ余地がありません。
生存バイアスの除去
S&P 500 は定期的に銘柄が入れ替わります。現在の構成銘柄だけをテストすると、途中で破綻・除外された銘柄が抜け落ち、結果が楽観的になります。
本テストでは S&P 500 の構成銘柄変更履歴を使い、各時点でどの銘柄が構成に含まれていたかを正確に追跡しています。 2023 年に破綻した SVB (Silicon Valley Bank) のデータも含まれており、「後出しジャンケン」のない公正な検証を実現しています。
売買ルール
買いの判定
以下の 3 つの条件がすべて揃ったときに買いシグナルを出します:
- 下落トレンドの底打ち — 価格の動きから下落が終わったサインを検出
- 上昇トレンドへの転換 — 底打ち後に反転の確認
- 移動平均線の収束 — 短期と中期の移動平均線が近づき、タイミングが最適であることを確認
売りの判定 (4 層の自動決済)
買った後は 4 つのルールを毎日チェックし、条件を満たしたら自動的に売却します。
| ルール | 発動条件 | 役割 |
|---|---|---|
| ① 損切ライン | 価格が一定ライン以下に下落 | 大きな損失を防ぐ |
| ② 弱気転換 | トレンド転換の兆候を検出 | まず 50% だけ売却 |
| ③ 利確ストップ | 高値から一定割合下落 | 利益を伸ばしながら確保 |
| ④ 保有期限 | 約 1 年経過 | 長期保有リスクの回避 |
50% 売却の仕組み
② 弱気転換ルールでは、まず保有の半分だけを売却します。 残り半分は ①③④ のいずれかのルールで後日決済されます。 「全部売って失敗」を避けつつ、利益を守る仕組みです。
例: $100 で購入
→ $110 で 50% 売却 (+10%)
→ $120 で残り 50% を売却 (+20%)
→ 実現損益 = (+10% × 0.5) + (+20% × 0.5) = +15.0%
検証結果
年別パフォーマンス
| 年 | 取引数 | 勝率 | 平均損益 | PF | 相場 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2016 | 2,973 | 66.7% | +3.33% | 4.67 | 横ばい |
| 2017 | 4,634 | 73.5% | +4.39% | 7.48 | 上昇 |
| 2018 | 3,393 | 59.7% | +1.77% | 2.18 | 下落 |
| 2019 | 4,800 | 71.6% | +3.91% | 5.38 | 回復 |
| 2020 | 4,639 | 73.4% | +4.81% | 6.28 | COVID 回復 |
| 2021 | 4,796 | 71.5% | +3.87% | 5.68 | 上昇 |
| 2022 | 3,518 | 64.6% | +2.45% | 2.87 | 下落 (利上げ) |
| 2023 | 4,147 | 68.8% | +3.74% | 4.80 | 回復 |
| 2024 | 4,565 | 72.5% | +3.88% | 5.40 | 上昇 |
| 2025 | 4,246 | 69.9% | +4.04% | 4.85 | 上昇 |
2018 年と 2022 年の下落相場でも黒字を維持 (PF > 2)。 S&P 500 指数自体は 2018 年に -4.4%、2022 年に -19.4% の損失でした。
売却ルール別の成績
| ルール | 取引数 | 比率 | 勝率 | 平均損益 | 役割 |
|---|---|---|---|---|---|
| ③ 利確ストップ | 22,526 | 52.9% | 91.4% | +7.17% | 利益の大半を生む主力 |
| ② 弱気転換 | 13,320 | 31.3% | 67.2% | +2.03% | 早期撤退 |
| ① 損切ライン | 6,735 | 15.8% | 1.4% | -4.70% | 損失を抑える防衛役 |
| ④ 保有期限 | 41 | 0.1% | 100% | +19.06% | ほぼ発動しない |
S&P 500 ETF (SPY) との比較
| 戦略 | 年率リターン (推定) | 備考 |
|---|---|---|
| S&P 500 ETF (SPY) | +14.27%/年 | 何もせず保有するだけ |
| 個別銘柄 (中央値) | +9.11%/年 | ランダムに 1 銘柄選んだ場合 |
| 本システム (理論値) | ~+29.5%/年 | 1 銘柄に常駐した場合の理論値 |
| 本システム (実運用見込み) | +15 ~ 22%/年 | 手数料・スリッページ込み |
計算方法
株価データ
株式分割や配当による調整が反映された調整済み終値を使用しています。 これにより、過去のデータも現在の株価と正確に比較できます。
リターン計算
リターン (%) = (売却価格 − 購入価格) / 購入価格 × 100
50% 売却があった場合:
実現損益 (%) = (50%売却時の損益 × 0.5) + (残り50%の損益 × 0.5)
Profit Factor (PF)
利益が出た取引の合計利益を、損失が出た取引の合計損失で割った値です。 1.0 を超えていれば黒字、数字が大きいほど優秀です。 本システムの PF 4.76 は「利益が損失の約 5 倍」を意味します。
約定タイミング
本テストでは当日終値でシグナル検出と約定を同時に行う想定です。 実際の運用では「当日終値でシグナル → 翌営業日の始値で発注」となるため、 わずかな差 (推定 0.1 ~ 0.3% / 取引) が生じます。
制限事項
データの制約
698 銘柄中 86 銘柄 (12.3%) はデータプロバイダーにデータがなく分析できませんでした。 SVB や First Republic Bank など破綻した銘柄が含まれており、 これらのデータが含まれていれば結果はやや低い数字になる可能性があります。
取引コスト
本テストでは手数料やスリッページ (希望価格と実際の約定価格の差) を含んでいません。 実運用では 1 取引あたり 0.1 ~ 0.5% 程度の摩擦コストが発生します。
投資に関する注意
過去のバックテスト結果は将来の成果を保証するものではありません。 市場環境の変化、流動性の低下、予期しないイベントなどにより、実際の運用成績は異なる場合があります。 投資は自己責任で行ってください。
テスト実施日: 2026-04-09 / データソース: 分割・配当調整済み終値, S&P 500 構成銘柄変更履歴